おはようございます。
昨日からの続きですが、中野東禅先生の講義は、道元禅師の「赴粥飯法(ふしゅくはんぽう)」に及ぶのですが、その中で野沢温泉のお話がたいへん興味深かったので、皆さんにご紹介します。ある有名な温泉旅館では、超プロの仲居さんに来ていただいて、社員教育をしているそうです。
それは、若い板前さんが、膝を立てて、食事をしていたそうです。社長が、「なんで、そんな恰好で食事をするんだ」と聞くと、「わしは小さい時から、この恰好で飯を食べてきた」と答えたそうです。
社長は、このままでは、お客様にご満足いただける料理も盛り付けもできないと思ったそうです。なぜなら、お客さんが召し上がる姿勢で食事をしないと、折角の料理も盛り付けが違ってくるからです。これは大変なことだと気づた社長は、お客様のこころを知り尽くした超プロの仲居さんをお招きして再教育をしているそうです。皆さんの会社にはそのような社員はいませんか。
今秋から、九州各地を巡る豪華寝台列車「ななつ星IN九州」が走り出しますが、お客様から7倍もの応募があったそうです。それでJR九州関連のホテルやレストランなどでキャリアを積んでいる人たちが、大分県の由布院の旅館で研修を受けているそうです。それは「和のおもてなし」と「地域のおもてなし」を学びたいという趣旨だそうです。(由布院玉の湯桑野和泉社長の西日本新聞記事より)
春は近づいている、日田市中釣町にて
「和のおもてなし」とはいかなるものでしょうか。それは日本人が永い時間をかけて培ってきた心構えと、礼儀作法であり、食事の作法なのです。「和」とは、和(なご)むと言いますが、聖徳太子の時代より、人間として日本人としてもっとも大事な精神なのです。
先程の若い板前さんは小さい頃から、基本を身に着けるべきでした。「辻留のご飯のすべて」(婦人画報社)で、辻留(和の料理人)さんが、「このごろでは「いただきます」も「ご馳走さま」もいわない家庭が多くなりました。これは、ものに対する感謝の気持ちが薄らいでいる証拠であります。
社会の進歩と技術の発達にともなって、世の中が何かと便利になると、便利であることがいつの間にか当たり前になり、ものへの感謝の念が失われていくのでありまして、まことに寒心にたえません。
いつぞや、世界の料理番組を訪ねる海外取材番組で世界中をまわって帰られたNHKの鈴木健二アナウンサーに「食事の前にお祈りをしないのは日本人だけですよ」と聞き、考えさせられました。 中略
ものへの感謝ということを、もう一度おもいおこして、ごはんに箸をつける前と、食べ終えて箸をおくときに「いただきます」と「ご馳走さま」をいう習慣を身につけたいものであります。」と書いてありましたが、日本人が取り戻さないといけない教育とはこのようなことではないでしょうか。
若いお父さんお母さん、おじいちゃん、おばあちゃん、ぜひ子供たちにお手本を見せてください。そこから始めましょう。そうすればこの国はもっとよくなります。いじめも体罰もなくなります。
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