2014年11月3日月曜日

藤原正彦教授講演「日本の心~美しい情緒と国柄~」を聴いて

 おはようございます。
11月1日に「おおいた教育の日」10周年記念推進大会が日田市で開催されました。その記念講演で「国家の品格」や「日本人の誇り」などの著者であるお茶の水女子大学名誉教授の藤原正彦先生の記念講演がありました。

御年71歳、お元気で口舌は絶好調でした。たぶんあと二十年はご健康でご活躍されると思い安心しました。「国家の品格」を読んでいない人にとっては、先生のお話に出てくる「惻隠」という漢字が浮かんで来ないかも知れないと思いながら聴いていました。


「我が国は古くから平等という言葉はありましたが、「平坦」という意味や仏の慈悲が衆生に一様に及ぶという意味、公平という意味などで、どれも闘争的な意味ではありませんでした。我が国では差別に対して対抗軸を立てるのではなく、惻隠をもって応じました。弱者・敗者・虐げられた者への思いやりです。惻隠こそ武士道精神の中軸です。」~「国家の品格」~

先生は、欧米の文明を批判しながら、日本の違いをお話していました。私もアメリカに三度ほど、行きました。ロサンゼルスオリンピックの時に西部へ、そしてケネディ大統領が暗殺されたダラスやジャズの町ニューオリンズなど南部を観光しました。

そして7年ほど前にニューヨークに行きましたが、そのときにアメリカは白人あるいはアングロサクソンやユダヤなどの一部の富裕層の国だなという印象を持ちました。先生の言う1人の勝者と99人の敗者の構図ですね。約5千万人の人が社会保険が受けられす、乳幼児死亡率が非常に高い国なのです。そして1人の勝者は、金融取引(不労所得)でお金がお金を生みだして儲けているのです。

世界史を見れば、欧米は戦争と征服の歴史であり、欧米の自由の概念は、アダムとエバと同様、神をも恐れない行為であり、自国の国益のために殺戮を繰り返してきたのです。しかもそれはわずか1%の人々の国益ではないでしょうか。自分の自由のために他人を犠牲にする自由ですね。

先生の言う「惻隠」を持った民族は、日本やブータン、ミャンマーなどの仏教を宗教にしている国に見受けられます。では中国や朝鮮半島で見受けれるかというと、ここでは一部の特権階級が国と冨を支配していて、見受けられないですね。

「惻隠」は武士道精神からの言葉だと思いますが、武士道精神はどうしてできたかと言うと、聖徳太子が神道と仏教の融合をはかり、神仏混淆のなかで醸成され、臨済宗や曹洞宗などの禅宗に基軸にしながら武士道が大成されるのです。茶道も華道もしかりですね。

日本の四季、自然、風土、民族性が、ノーベル賞受賞者を輩出しているとお話していました。1990年以降では今年で14名で、アメリカ、イギリスにつぎ3位です。そして日本のノーベル賞受賞者のほとんどが地方の出身者です。

自然のなかで、のびのびと育ち、友達を大事にし、家族が支えあって生活してきた人たちですよね。翌日、「進撃を巨人」を書いている日田市大山町漫画家諌山創君(28歳)の講演会がありましたが、この青年は天才だなと思いました。なぜなら従来の漫画の概念を超えているからです。

それはともかくとして、この大山町も地方の田舎ですよね。日本のどこでもある山や川、海などの自然で育ったのです。日本の自然や風土が育んでくれるものが情緒なのです。

「日本が生み出した普遍的価値のうち、最大のものは、第四章で述べた「もののあわれ」とか、自然への畏怖心、跪く心、懐かしさ、自然への繊細で審美的な感受性といった情緒です。」~「国家の品格」~

藤原先生が口を酸っぱくして言っていただいた日本人の情緒と国柄を失ってはなりません。アメリカの言うグローバリゼーションに踊らされ、金銭主義や拝金主義でお金儲けに狂奔していることが国力ではなく、真の国力とは自然であり、国民の教育であり、文化なのです。


先生の講演内容を十分にお伝えできなかったと思いますがぜひとも「国家の品格」(新潮新書)をお読みになってください。中野孝次先生の「清貧の思想」も併読するとよいと思います。それでは皆様の品格とお人柄が向上しますようにお祈りします。南無 合掌 徳温禅月。





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