私は龍体山の森の中に、
車を止め、ハッチバックを開け、ゆっくりと座り
足を組み、合掌し、
両手を陽迎印で、ひざの上におき、
意識しながら、静かな呼吸をした
向こうの山の老木が目に入り
その老木に集中した
老木は老人のように叡智にみちていた
老木とこころのなかで語ると、老木は
ただ微笑んでいた
時間はゆっくりとゆっくりと流れていた
わたしは目を閉じ、
森の声を聴くと、
木の葉のざわめき、
小鳥の鳴き声がいくつも聞こえてきた
その小鳥たちのなかでひときわはっきりした
小鳥の声に集中した
小鳥は何かを語っているようであった
そうだ名前をつけようと、ふと文殊という名が浮かんできた
利口そうな鳥の声にぴったしだ
文殊の声に集中すると、他の音は、
まったく聞こえなくなった
文殊の声だけである
ある瞬間、文殊の声が途絶えた時
その一瞬
わたしのこころは 空になった
私は森と同化したようだ
ここちよい安らぎを感じながら
自然にひたった。
0 件のコメント:
コメントを投稿