2013年9月18日水曜日

禅(仏道)を歩むⅢ-以心伝心ー

 おはようございます。
朝晩冷え込み、秋の気配を感じる今日この頃です。だんだん山々は紅葉してくるのが楽しみです。自然の営みの中に、神仏がが顕現してくださるのです。有り難いことです。

今日は、以心伝心という言葉を考えてみましょう。「こころでもって、こころをつたえる」と書いているのですが、この言葉は日常的に使われていて、都合よく使われている言葉でもあるのです。友人と会ったときに、おなじような思いのとき、以心伝心やわと言いますがちょっと違うと思うのです。

ご主人が、「言葉にださなくても、思ってることは家内に伝わるんだと、以心伝心だわ」といって、そう思い込んでいる人も多いものです。そして会話という愛情表現をしなくなくなると、だんだん冷めてくるのです。


こころの状態は、顔の表情やしぐさにあらわれてきますので、こころの状態をすがすがしく、清らかにしていないと、そのこころが相手につたわるのです。

2020年の東京五輪が決まったのですが、リオでのプレゼンテーションで、「おもてなし」という言葉を言った方がいますが、「おもてなし」は禅から茶道に受け継がれ、いまでは旅館などの観光業で使われています。まさに「おもてなし」のこころは、「以心伝心」で伝えることではないでしょうか。

禅には「不立文字」という言葉があります。文字であらわさず、体(こころ)で修行する、覚えるということですが、以心伝心も同じような意味で、言葉ではなく、こころから伝えることの大切さを言っているのです。

実は、中村天風先生が主宰した天風会があって、夏の修練会に参加すると、いくつかの実修があって、言葉を発せずに、思いで、指し示すものをあてることや、こころで重いと思うと誰も持ち上げられなくなる訓練をするのですが、これはこころの力を教えてくれているのです。

私たちが、相手のことをこころから大切に思っていると、そのことは自然に伝わるのです。たとえば年老いた父母を、いとおしく思うものは、その愛情は伝わります。逆に、嫌いだと思っている、軽率に思っているとその思いまた伝わるのです。

ですから大事なことは、わたしたちのこころをいつも見守り、こころが正常にはたらくようにしなければなりません。そのためにも、朝夕の座禅は、歯を磨くがごとく、食事をするがごとく、大事なことなのです。

ビジネスマンで、今、多忙ですと当たり前のように言う人がいますが、この忙しいという言葉こそ気をつけないと、「忙=心を亡くす」と書いています。心を亡くして仕事をしているとろくな仕事はできず、トラブルを引き起こします。忙しいと感じたときは、イス禅でも、立禅でもできますので、取り入れれば必ずリフレッシュできますよ。

「清らかなこころで、こころからこころにつたえることができますように、おちからをください。」とお祈りします。合掌 徳温禅月。






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