おはようございます。
昨今の日中、日韓関係を見ていると、なかなか関係改善できないものが底流に横たわっているように思えてなりません。特に一昨年の、反日デモによる日系企業への襲撃、略奪は政治的意図を持って行われた形跡があります。
中国政府や韓国政府、ましてやパン・ギウン国連事務総長までもが歴史認識をことさらに言う現状を見ると、その背景になにがあるのか、精査しなければなりません。孫氏の兵法のなかに、「敵を知り、己を知れば百戦危うからずや」という言葉があります。
歴史認識のまえに、歴史の事実をよく知る、そして現在の国家政権がどのようにして生まれたのかを知らなければ外交は成り立たない。これは民間外交においてもいえることではないでしょうか。なぜなら国家によって作為的に利用されるからです。
現代史をそろそろ見つめなければ世界の未来はないという思いで、約13年前に人気絶頂のジャーナリスト池上彰氏が書いた「そうだったのか!現代史」を読み返し、歴史の事実を再確認するなかで、今後の日本人の在り方を模索すべきだと思います。
なぜ、一昨年反日デモが行われたのか、それを解く鍵は、「文化大革命」にあります。毛沢東は、1958年に始めた「大躍進政策」が失敗したのち、それを批判した幹部を失脚させました。このときから、毛沢東包囲網を打ち破る(壮大な権力闘争)ために、若者を使った文化大革命が始まるのです。
中国の歴史は、隋、唐、明、宗、元、清など政権を取った王朝が過去の王朝を打ち倒して、成立していますので、一貫性はないようにありますが、毛沢東は中国共産党政権をうちたてたのに、その中身は、彼自身が言っているように大漢民族国家の建設であり、この中華思想が周辺諸国との軋轢を生んでいるのです。
1968年当時、フランスではカルチェラタンでの闘争、アメリカではベトナム反戦運動、日本では全共闘運動といい、世界的な学生運動が席巻した時代です。それに影響を与えたのが毛沢東思想であるのです。今日、毛沢東語録は約60億部出版されていると言われています。
「文化大革命」には紅衛兵が登場し、右手に毛沢東語録という赤い本を掲げ、自分の祖父や父までも血祭りにあげて行き、その犠牲者は、10年間で200万人が収監され、50万人が処刑されました。農村では、2000万人が餓死したと言われています。
劉少奇や鄧小平は、経済の立て直しに舵を切りますが、毛沢東は自らを批判するものは、文化大革命を利用して、追放して行き、権力闘争に勝利したのです。その後もしかりで中国共産党の歴史は、権力闘争の歴史でもあるのです。その意味でいえば、日本でも政党や政権の歴史は権力闘争でありますが、そこには民主主義という原理がきちんと働いているのです。
その後、中国は、鄧小平が復活し、経済の改革開放路線によって、大きく発展してきましたが、皆さんがTVニュースで見た通り、昨年の反日デモのとき、毛沢東の写真のプラカードを掲げていましたね。つまり毛沢東思想は生き続けているし、若者を利用する手法は何も変わらないのです。それは「造反有理」という言葉で、犯罪行為が許されるからです。
池上彰氏は『スターリンのソ連に続いて、中国でも独裁者によって悲劇が生まれました。どうして、悲劇が防げなかったのか。「何が正しい文化や思想であるかは共産党が決める」という体制になっていて、個人個人が自分の生き方、理想というものを自分なりに考えることができない社会だったのではないか、という批判もできるでしょう。「自分の頭で考える」ことの大切さを痛感させる出来事でした。』と書いています。ソ連に占領されることなく、戦後日本は民主主義国家になったのは神の摂理でもあると思いませんか。
戦前の日本はどうでしたか。自由にものを言えましたか。だからこそ、青少年に歴史の真実を伝え、また若者も歴史を学び、「人のふり見てわがふりなのせ」と言う言葉あるとおり、他国を見て、自国を戒めることが必要ではないでしょうか。
最近流行りのTVドラマ「半沢直樹」を見ていると、どんな社会や組織でも権力闘争があるなと思う次第ですが、そのとき、何が正しいかを判断して、言うべきを言う人がいないと、企業もまた犯罪を犯す集団になるのです。
個人的な意見を最後に言えば、今後いつでも反日デモは起きます。日本企業の安価な労働力による海外生産活動はもう通用しなくなっているのです。進出国の歴史や文化を踏まえ、その国のために何ができるのかという利他の心を持った企業活動しか、受けいれられないのです。
いわゆる中国の覇権主義や拡大主義は、中国4000年の歴史の中華思想と毛沢東の言った大漢民族国家の建設の途上で、必ず現実のものとなります。チベットや東トルキスタン(新疆ウイグル自治区)で起きている弾圧と、同化政策(中国の男性と結婚させ、民族をなくす)は目に余るものがあります。そして、仏教もキリスト教も弾圧されています。
中国の今後を注視しながら、東南アジア諸国と協力して、自国を守らなければなりません。どんな国でも一党独裁国家である限り、民主化はできないです。明日は、「第14章天安門広場が血で染まった」を読んで感想を書きたいと思います。
参考図書
「そうだったのか!現代史」 池上彰著 集英社
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